"せきつい"ブログ

脊椎専門の脳神経外科医のブログです。脊椎手術や学術に関する私見、患者さんとの会話、助言など、記録にしています。 また、アメリカ留学中のイベントなどについても書き込みしています。

脊椎手術_頚椎

橈骨逆転反射と手指屈筋反射

先日、頚椎症性筋萎縮症を疑う症例が外来にきました。筋萎縮性側索硬化症(ALS)も鑑別にはなるために、念のため、神経内科にコンサルトしたところ、橈骨逆転反射もあり、C5,6髄節障害で間違いなく、頚椎症で、ALSではない、との返事を頂きました。 橈骨逆転反…

両開き(double-door)と片開き(open-door)の比較

椎弓形成術には、両開き(double-door)と片開き(open-door)があります。 私は、両開きですが、最近は、片開きの先生が多いような印象があります。片開きの方が、恐らく、手術時間は短くできるとは思います。一方で、C5麻痺の頻度は片開きの方が高い、といった…

ロボットを利用した頚椎スクリュー挿入

中国からの論文を目にする機会が多くありますが、頚椎スクリューを刺入する際に、ロボットにアシストをしてもらった方が、正確性が高い、という論文が出ていました(Fan M et al. Improved Accuracy of Cervical Spinal Surgery With Robot-Assisted Screw In…

椎弓形成術後の後弯変形

先日、頚椎症性脊髄症で椎弓形成術を行った患者で、術後に首下がりになった症例を経験しましたが、頚椎椎弓形成術の術後の後弯変形に関して、興味深い論文がありました(Fujishiro T et al.Significance of flexion range of motion as a risk factor for kyp…

椎孔周囲スクリュー(paravertebral foramen screw: PVFS)

先日、Webinar("Web"と"Seminar" を合わせた言葉)で筑波大学の國府田先生が、頚椎後方固定術の基本について話をされていたので、それを聴講しました。 色々な解説があったのですが、その中で、PVFS(paravertebral foramen screw)について話がありました。私…

肩甲上腕反射(scapulohumeral reflex)による神経学的診断

先日、環軸椎亜脱臼によるC2歯突起偽腫瘍に、頚椎症性脊髄症を合併した症例を経験しましたが、画像上、C1およびC3/4レベルでの脊髄の圧迫があり、どちらが主たる問題か、診断する必要がありました。 このようなときに、有用かもしれないのが、肩甲上腕反射(…

O-C固定(後頭骨-頚椎固定)と嚥下障害

先日、O-C(後頭骨-頚椎)固定が必要と思われる症例があり、嚥下障害リスクを検討するために、以前、学会で聴講したSwallowing line(S-line)の論文を確認してみました。(Kaneyama S et al. The Prediction and Prevention of Dysphagia After Occipitospinal F…

O-armのNavigationを利用した頚椎椎弓根スクリュー

先日、頚椎スクリューを挿入する際に使用するガイドテンプレートに関して、投稿しましたが、それほど一般的にはなっておらず、現状では、ナビゲーションシステムを利用している施設が多いかと思います。 多くは、術前のCT画像を利用したナビゲーションかとは…

頸椎スクリューはテンプレートを使う

先日、頚椎後方固定で、テンプレートを使用した手術をみせて頂く機会がありました。 秋田脳血管研究所の菅原卓先生らが開発された技術です。 Sugawara T et al. Prospective Multicenter Study of a Multistep Screw Insertion Technique Using Patient-Spec…

椎弓形成術でC3椎弓は切除か形成か?

椎弓形成術(laminoplasty)において、 C3椎弓を形成すると、C2棘突起に付着する頸半棘筋(Semispinalis Cervicis)を剥がす必要があるため、術後の後彎変形や、C2棘突起と形成したC3椎弓が干渉するために、可動域が狭くなる、といった報告があります。 広島大学…

首下がり症候群

椎弓形成術後に、首下がり症候群(dropped head syndrome)(術後頚椎後弯変形というべきでしょうか…)を呈する例に、先日、初めて、経験しました。 術後、半年以上経ったあとで、首下がりになってしまいました… 術後の首下がり症候群のリスク因子としては、術前…

椎弓形成術で、C2椎弓の処置をどうするか?

頸椎後縦靭帯骨化症(OPLL)や頚椎症性脊髄症では、時々、C1やC2椎体レベルまでOPLLが発達していることがあり、C2椎弓切除が必要と考えられるケースがあります。 ・上位頚椎の固定をする際、C1後弓やC2棘突起に付着する筋群は基本的には、剥離する ことから、C…

私の頚椎椎弓形成術

頚椎椎弓形成術は、大きく、 ・片開き式 ・両開き式 に分かれます。 現在は、片開き式をされている術者が多い印象ですが、 私は両開きの指導を受けてきたので、両開き(Double open door)で、行っています。 手順としては、 ・棘突起は、C3-6(7)まで正中縦割 …