基本的に、内視鏡手術をしていないため、外来で、患者さんに手術の説明をしていると、少し、ムッとする質問が、
"内視鏡で、できますか?"
です。ムッとしてはいけない、と抑えながら、説明を続けるのですが、
ムッとする理由は、2つあるように思います。
ひとつは、
この質問をする多くの患者さんは、"内視鏡に関する十分な知識を有していない"、こと
もう一つが、私自身が、内視鏡で手術をやっていないから、ではないでしょうか。
患者さんの知識に関して、
たとえば、腰椎椎間板ヘルニアでば、
MEDとFEDの区別がついていない、
患者さんが多いと思います。
内視鏡といっても、色々ある、ことをわかっている患者さんは多くないように思います。
MED(Micro endoscopic discectomy)は、内視鏡は使うものの、われわれがやっている
顕微鏡のmicro LOVE法とさほど違いはありません。
岩井整形外科のホームページで、内視鏡治療に関して、詳しく書いていますので、参考にしてください。
MED:椎間板ヘルニアの内視鏡下手術|岩井整形外科内科病院 (iwai.com)
皮膚切開もMEDが3㎝くらいとすれば、micro LOVEは4cmくらい。
手術時間も私のヘルニア手術は、1時間くらいで、MEDを行っている施設の平均くらいのようです。
FED(Full-endoscopic discectomy)は、MEDとは、全く違う手術といってよいのではないでしょうか?
RIWOspine
皮膚切開は1㎝程度で済み、低侵襲手術といえば、この手術を想像する医師は多いと思います。
したがって、内視鏡といっても、MEDかPEDか、で違うので、そのあたりの啓蒙は必要かと思います。
脳神経外科の脊髄外科学会の中には、
があります。その会の技術認定者は、平成30年でわずか20人弱程度です。
整形脊椎の中で、どれくらいの先生が、されるのかは把握できませんが、それよりは多いとは想像されます。
本年度の日本脊椎・脊髄神経手術手技学会でも、胸椎疾患もFull-endoscopicでされている報告もありました。
私自身、PEDをやろうとはしていて、講習会や、外国でのCADAVER courseも受けましたが、施設ではやっていないこともあり、患者さんに提供できるまではいっていないのが現状です。
何でもかんでも内視鏡、(または、何でもかんでもオープンサージェリー)
でやる必要はないと思いますが、これは、脳神経外科でいえば、
何でもかんでも血管内、または、何でもかんでも開頭
と構図としては似ているように思います。
今後は、多くの施設では、症例によって使い分けていく、流れになるのではないかとは思います。