"せきつい"ブログ

脊椎専門の脳神経外科医のブログです。脊椎手術や学術に関する私見、患者さんとの会話、助言など、記録にしています。 また、アメリカ留学中のイベントなどについても書き込みしています。

痛み止めのボタン (IV-PCA)

脊椎の手術後に、IV-PCA(in- travenous patient-controlled analgesia)という痛み止めの点滴をつなぐことがあります。

点滴の中身は、フェンタニルなどの医療用麻薬で、

患者さんに、ナースコールみたいなボタンを持ってもらって、痛いときには、そのボタンを押してもらいます。

ボタンが押されたときに、点滴から、痛み止めが注入されて、痛みが緩和される、という便利なものです。

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ある患者さんが、退院するときに、いわれた言葉が、

 

「手術終わった後、先生が、"痛いよね?痛み止めのボタン、押しておくね"、といってくれましたね。どうもありがとうございました。」

 

 そういうことは、はじめて言われたので、ハッとしました。

 

手術が終わって、患者さんが病室についたときに、覚醒していて、痛みが強そうだったので、

"痛いよね、この痛み止めのボタン、押しておくからね。"

というような感じで、やったことで、このとき、特別だったわけではないのですが、自分が思っている以上に、

患者さんは、有難いと思ってくれていた、ようです。 

 

患者さんにしたら、医療者の言動で、

嬉しかったこと、嫌だったこと、色々あるんだと思います。

そのことを医療者に伝えることはそんなには多くない気がします。

 

何気ない言葉が、

患者さんの満足度を上げたり、下げたりするものなんだろうと思った体験です。