患者さんの背景(住んでいる地域、年齢やリサーチ能力など)にもよると思いますが、
脊椎の手術が必要になったとき、
どこの病院で手術を受けるか?
というのは一番の悩み事だと思います。
私も、いくつかの病院で勤務をして、脊椎の手術をしてきましたが、
学会などでの講演や発表や他の先生と話をしたり、という経験も合わせて考えれば、
Commonな疾患である頚椎症性脊髄症や腰部脊柱管狭窄症などであれば、
ある程度、どこの病院で受けてもさほど問題はないように思います。
より、失敗しない病院の選び方、として、独断と偏見でいわせてもらえば、
・40代、50代くらいのDr
・極端に手術件数が多すぎず、少なすぎない病院
がいいと思います。
まず、Drの年齢ですが、
learning curve(学習曲線)というのがあります。
経験に応じて能力が高くなっていく、ということを示したものですが、
ある程度まで行くと、横ばいになっていきます。
Commonの疾患であれば、どこの病院でもそれなりの経験が積めるので、
ある程度の年齢になったDrであれば、それなりの技術があると考えられます。
そして、偏見も入りますが、年配のDrは、手術がかなりクラシックで、軟部組織への侵襲が大きいことがあります。
今までやってきたやり方を変えられないことが影響しているのか、
低侵襲へシフトしてきている王道からずれていることがあるように思います。
その点で、40代、50代くらいのDrがベターと思います。
また、手術件数ですが、ある程度の件数はあった方がよいですが、
件数が多い病院が良いかというと、手術件数を稼ぐために、
手術の適応が微妙(手術しなくてもよさそうな症例)だったりすることがあります。
つまり、不要な手術を受けることになる可能性があります。
この点に関して、
病院選び以上に、
その手術は本当に必要なのかどうか、
ということは大事だと思います。
医者ではない患者さんが手術適応を判断することは困難だと思いますので、
医師の説明が理にかなっているもの、
と思えなければ、セカンドオピニオンをお勧めします。
・画像の異常だけでなされる手術(脊椎は機能外科なので、症状との一致が必要)、
・画像と神経症状が合致しないのになされてしまう手術、
・手術ではなく、術後のリハビリで良くなっているだけの症例(つまり、手術せずにリハビリだけで良かった)
・長期的な視点が欠けている手術(一旦は良くなっても、また別の問題が生じる)
などの症例に遭遇することも稀ではありません。
適切な時期に、適切な手術を受けることが、大事だと思います。