患者さんに、”手術は先生がされるのですか?”という質問をされることがあります。
患者さんは、誰が執刀してくれるのかは非常に重要なこと、と思っているようです。
患者さんからすれば、ある程度、経験豊富な人に手術をしてもらいたい、と思うでしょう。
確かに、脊椎手術では、市中病院においては、頚椎症性脊髄症に対する椎弓形成術や、腰部脊柱管狭窄症に対する椎弓切除術などが全体の中でそれなりの割合を占めていると思われ、これらはresidentクラスが執刀することも多いと思います。
しかし、病院としては、治療成績が悪くなるような対応をすることは、得策ではないことから、手術は、問題なくできると思われる人に割り当てられるものと考えられます。
また、手術は一人でやるものでもないので、経験が少ない人が術者であれば、助手は経験豊富な人になるでしょう。
若い医者(resident)と指導医(teaching neurosurgeons)で、治療成績に違いがあるかを検討した論文がありました。
“Comparative study of perioperative complication rates of cervical laminoplasty performed by residents and teaching neurosurgeons.” J Clin Neurosci 2017
今年度の脊髄外科の学会長で、その学会の前に亡くなられた、谷口先生の名前があります。
この論文によれば、193例で、術後30日以内の合併症率には違いがなかった、とあります。
術者はresidentであっても、指導医が助手をしていれば、大きな問題はない、ということかもしれません。