先日、頚椎後方固定で、テンプレートを使用した手術をみせて頂く機会がありました。
秋田脳血管研究所の菅原卓先生らが開発された技術です。
Sugawara T et al. Prospective Multicenter Study of a Multistep Screw Insertion Technique Using Patient-Specific Screw Guide Templates for the Cervical and Thoracic Spine. Spine (Phila Pa 1976). 2018 Dec 1;43(23):1685-1694.
2018年にpublishされていますが、googleで調べるとすでに引用は24あります。2015年の共同研究者の金山先生が筆頭のspineの雑誌はcitationが100を超えているようです。相当なインパクトの論文であることがわかります
2019年に民間医局でコラムが載っていました。
これは、術前のCTから、ソフトウェアを使って、スクリューのトラジェクトリーを設定、その後、3Dプリンタで、棘突起や椎弓にフィットするテンプレートを作り、そのテンプレートを使って、椎弓根スクリューや外側塊スクリューを挿入する技術です。
術中、助手にテンプレートがずれないように押さえてもらって、術者がテンプレート上にあるholeに下穴をあけて、という感じで手術を行います。論文では圧倒的な安全性が示されています。また、透視やナビゲーションが不要で、手術時間が短縮できること、被爆がないというメリットもあります。
頸椎のpedicle screwはNavigationが必要と思っていましたが、この技術で十分だと思いました。術前のプランニングに用いるソフトウェアの使い勝手も改善してきているようです。
外側塊スクリューであれば、不要とも言えますが、被爆がない、また、トラジェクトリーに信頼性があり、LMSでも長いスクリューが安全に使用できることを考えると、LMSでも使用してよい気がします。
ただ、超緊急ではオーダーメードで、テンプレート作成までの時間がかかるため、使用できません。このテンプレートでしかスクリューが使えないと、緊急時の対応ができなくなる可能性はあります。