先日、腰椎分離症の中学生の診察をしました。主訴は腰痛で、Xpを取ると、分離が疑われたので、CT検査したところ、片側の腰椎分離症でした。
分離症は、腰椎の進展、回旋が繰り返されることによる疲労骨折です。
腰椎分離症に関して、徳島大学の西良先生が解説をしているサイトがあります。
【医師出演】腰椎分離症とは ー スポーツに打ち込む10代に向けて | Doctorbook
スポーツ医学では、常識なのかもしれませんが、普段、高齢者ばかりみている医師には、腰椎分離症に関する知識は不十分であることがあります。私もそうでした…
忘れないように、西良先生の解説論文をまとめます(腰椎分離症(jst.go.jp))。
分離症は、3期に分かれます。
・初期:明確な骨折線はないことがあり、MRIでの信号変化がみられる
・進行期:完全骨折だが、骨癒合が期待できる時期
・終末期:偽関節で骨癒合が期待できない。
初期の腰椎分離症(Xp上で診断できない)を見逃さないために、"2週間続く腰痛の小中高生はMRIを撮影する必要"があります。
初期では、MRIで、pedicleがT1 low、T2 high、STIR highの信号変化がみられます。特にSTIRあるいはT2脂肪抑制は鋭敏とのことです。
初期であれば、コルセットを3か月、安静にてほぼ完治するようです(癒合率94%)。
また、腰痛に関しては、初期から進行期では、疲労骨折由来の疼痛で、棘突起の圧痛がみられます。また、骨折による出血や炎症が神経根周囲に波及することで、神経根性疼痛が出ることがあります。
終末期には、偽関節となり、滑膜炎を生じて疼痛が生じます。したがって、初期と進行期、終末期は疼痛の機序が異なる、ようです。
装具ですが、初期、進行期であれば、進展と回旋を制御できる体幹硬性コルセットが適応です。
分離症治癒後に、再度、競技に戻る際、分離症の再発を予防するため、ハムストリングの柔軟性の獲得が必要で、そのためのストレッチとして、ジャックナイフ・ストレッチが提案されています。
すべり、に関しては、発育期に椎体成長軟骨板が解離することによって生じるようです。椎体骨年齢が若いほど、すべる可能性が高くなるようです。