中国からの論文を目にする機会が多くありますが、頚椎スクリューを刺入する際に、ロボットにアシストをしてもらった方が、正確性が高い、という論文が出ていました(Fan M et al. Improved Accuracy of Cervical Spinal Surgery With Robot-Assisted Screw Insertion: A Prospective, Randomized, Controlled Study. Spine (Phila Pa 1976). 2020)。
TINAVI Medical Technologiesという会社から出ている、Tianji Robotというロボットにスクリュー刺入のガイドをしてもらう手術です。
Referenceはメイフィールドにつけます。ロボットアームにキャリブレータ―がついていて、アームを手術部位近くに置いておき、その後、C-armで3D撮影を行います。そうすると、術前に決めていた刺入点を、ロボットアームが示してくれ、術者がロボットに従って、スクリューの刺入を行う、ということのようです。
結局、術前検討は術者が行うので、ロボットが行うのは、刺入点に誘導する、ということだけのようですが、そのように挿入したスクリューの正確性は高く、conventionalな透視を用いた刺入よりも、成績が良かったとのことです(Gertzbein and Robbins scaleによるGrade AまたはBの割合が、ロボット群では98.9%でconventional群の91.2%に比べて優位に高い。P<0.001)。
なお、この論文のデータは2015年から2018年の手術で、ロボットにアシストしてもらうかどうかはrandomに振り分けられたようです。スクリューは、LMS、Odontoid screw、Magerl、PSで、PSが全体の40~50%で、ロボット群、Conventional群でスクリュー法のの統計的な違いはなかったとあります(total n=127)。
Secondaryには、ロボットの方が、出血、術後退院までの日数は優位に少なく、また、経皮的にスクリュー挿入を行ったロボット群は、手術時間も短かったということです。
日本でもこのようなロボットがあるのかどうかわかりませんが、外科医療もロボットを使うようにはなっていくのでしょう…
頸椎スクリューは、透視のみのconventionalなものから、ナビゲーション、ガイドテンプレート、ロボットと、サポート技術が色々と増えてきています。