"せきつい"ブログ

脊椎専門の脳神経外科医のブログです。脊椎手術や学術に関する私見、患者さんとの会話、助言など、記録にしています。 また、アメリカ留学中のイベントなどについても書き込みしています。

DuraGenの使用経験

私のいた病院では、使う機会のなかったDuraGenですが、先日、Duragenを使っているところを見学させて頂く機会がありました。硬膜の元になる、という意味のDura-genですが、重宝している先生も多いのでしょうか。

私は、硬膜形成が必要な場合、primary closure(使えるときにはクリップを使用)した後、ネオベールとベリプラストを使用していました。画像はテンティング用の糸もかかっています。

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硬膜形成、ネオベール使用

The dural repair using the combination of polyglycolic acid mesh and fibrin glue and postoperative management in spine surgery

ただ、ネオベールとベリプラストは報告されているほど、髄液漏がない、ということはなく、primary closureがtightにできないような、硬膜欠損が生じているようなケースなどで、髄液貯留が生じて、再手術になることもありました。

Duragenは、髄液漏予防に、より有効の可能性があります。

 脊椎脊髄手術におけるDuragenⓇの髄液漏防止効果の検討 (jst.go.jp) 

特に、ネオベールと異なり、水との親和性があり、表面張力で組織と密着する、とあります。今後、機会があれば、Duragenを使用してみたいと思います。

Duragenを使用したいのは、primary closureが難しい硬膜欠損などのケースですが、この論文では、腰椎レベルでは、立位時などで髄液圧が上昇するために、髄液漏が生じやすくなる、とあります。やはり、万能ということではないかとは思いますが、色々と選択肢が増えるのはありがたい限りです。