Nintendo Switchの『リングフィットアドベンチャー』で腰痛や臀部痛が軽減するという論文が出ていました。千葉大学でプレスリリースされています。
家庭用ゲーム機のフィットネスゲームで慢性的な腰痛が改善(chiba-u.ac.jp)
Sato T, et al. Effects of Nintendo Ring Fit Adventure Exergame on Pain and Psychological Factors in Patients with Chronic Low Back Pain. Games Health J. 2021 Jun;10(3):158-164.
Games for Health Journalという雑誌で、IFは1.859ありました。
この雑誌の名前から想像できるように、TVゲームと健康に関する雑誌で、TVゲームが子供に与える影響など、今まで偏見と想像で語られていたようなトピックを扱っています。
コロナもあって、自宅時間が増えたことから、自宅でのエクササイズのニーズも増えていると思います。ゲームは、持続可能なエクササイズを提供するかもしれません。
慢性腰痛には、原因がはっきりしないこともあり、心理学的な要因の関与が考えられます。また、運動療法が有効ですが、患者さんは、痛みが強くなるなどの理由から、運動に対する恐怖感があり、この恐怖感を取り除くために、認知行動療法(CBT)的なアプローチを図る、といったことも行われます。
この研究は、前向きのランダム化試験で、20例が週1回40分のリングフィットによるトレーニング+薬物療法、20例は薬物療法のみとなっています。8週間後に、疼痛および心理学的な評価を行い、検討をしています。
結果は、リングフィット群が、腰痛(low back pain)および臀部痛(buttock pain)の改善とともに、心理尺度は、運動恐怖症(kinesphobia)、痛みの誤った認知?(pain catastrophizing)は変化なく、自己効力感(pain self-efficacy)が高まった、という結果でした。自分で痛みをコントロールできる、と思うことが有効なのではないかと考察しています。
長期的な効果などわからず、今回の対象は平均50歳前後でしたが、リハビリに通ったりせずに、一人で自宅でできるゲームでの治療で医療費抑制などの効果もあるとのことです。非常に興味深い研究だと思います。