"せきつい"ブログ

脊椎専門の脳神経外科医のブログです。脊椎手術や学術に関する私見、患者さんとの会話、助言など、記録にしています。 また、アメリカ留学中のイベントなどについても書き込みしています。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

椎孔周囲スクリュー(paravertebral foramen screw: PVFS)

先日、Webinar("Web"と"Seminar" を合わせた言葉)で筑波大学の國府田先生が、頚椎後方固定術の基本について話をされていたので、それを聴講しました。 色々な解説があったのですが、その中で、PVFS(paravertebral foramen screw)について話がありました。私…

MRI所見でBKPの適応を考える

骨粗鬆症をベースにした胸腰椎圧迫骨折は、今後も増えていく疾患と思われ、それに対する外科的治療として、バルーン椎体形成術(BKP:Balloon kyphoplasty)があります。 その適応に関しては、色々と議論はあるものの、個人的には、保存加療で疼痛が改善しない…

周術期の抗血小板薬は中止するか?

高齢化に伴い、抗血小板薬内服症例の手術が増えています。 周術期に抗血小板薬を継続したままにするか、一旦、休薬するかどうかは、各施設や医師によって対応が違うように思います。 ・抗血小板薬を休薬すれば、血管系イベント発症のリスクが上がる。 ・抗血…

肩甲上腕反射(scapulohumeral reflex)による神経学的診断

先日、環軸椎亜脱臼によるC2歯突起偽腫瘍に、頚椎症性脊髄症を合併した症例を経験しましたが、画像上、C1およびC3/4レベルでの脊髄の圧迫があり、どちらが主たる問題か、診断する必要がありました。 このようなときに、有用かもしれないのが、肩甲上腕反射(…

O-C固定(後頭骨-頚椎固定)と嚥下障害

先日、O-C(後頭骨-頚椎)固定が必要と思われる症例があり、嚥下障害リスクを検討するために、以前、学会で聴講したSwallowing line(S-line)の論文を確認してみました。(Kaneyama S et al. The Prediction and Prevention of Dysphagia After Occipitospinal F…

LLIF後の腹筋麻痺

椎体間固定術に、LLIF(Lateral Lumbar Interbody Fusion:側方経路腰椎椎体間固定術)、が選択される頻度が高くなっているようです。 変性側弯などには非常に有効なアプローチだと思います。術後の合併症として、腸管や尿管、大血管などの損傷が知られています…

O-armのNavigationを利用した頚椎椎弓根スクリュー

先日、頚椎スクリューを挿入する際に使用するガイドテンプレートに関して、投稿しましたが、それほど一般的にはなっておらず、現状では、ナビゲーションシステムを利用している施設が多いかと思います。 多くは、術前のCT画像を利用したナビゲーションかとは…

手術が上手な医者の見分け方

手術が上手な医者の共通点は? 当たり前かもしれませんが、上手な外科医には、決断力と余裕がある、と思います。 決断力がある、というのは、その決断が必ずしも合っているとは限りませんが、決断することに時間をかけない、ということです。決断には、責任…

頸椎スクリューはテンプレートを使う

先日、頚椎後方固定で、テンプレートを使用した手術をみせて頂く機会がありました。 秋田脳血管研究所の菅原卓先生らが開発された技術です。 Sugawara T et al. Prospective Multicenter Study of a Multistep Screw Insertion Technique Using Patient-Spec…

椎弓形成術でC3椎弓は切除か形成か?

椎弓形成術(laminoplasty)において、 C3椎弓を形成すると、C2棘突起に付着する頸半棘筋(Semispinalis Cervicis)を剥がす必要があるため、術後の後彎変形や、C2棘突起と形成したC3椎弓が干渉するために、可動域が狭くなる、といった報告があります。 広島大学…

首下がり症候群

椎弓形成術後に、首下がり症候群(dropped head syndrome)(術後頚椎後弯変形というべきでしょうか…)を呈する例に、先日、初めて、経験しました。 術後、半年以上経ったあとで、首下がりになってしまいました… 術後の首下がり症候群のリスク因子としては、術前…

S1スクリューのコツ

経皮的椎弓根スクリュー(PPS; percutaneous pedicle screw)で、S1スクリューを入れるときに、腸骨棘が邪魔になり、スクリュー刺入点が内側になったり、角度が外側に向いてしまったりすることがありました。やむを得ないものと思っていましたが、 MISt手技に…