2021-01-01から1年間の記事一覧
脊椎は、学会が非常に多い、という特徴があります。 脊椎を専門とする脳神経外科医にとっての主たる学会となる日本脊髄外科学会 (neurospine.jp)に加えて、さらに専門的な学会や研究会があります。年会費が必要なことも多く、出費がかさむため、少し整理した…
最近、大学院のときにお世話になった研究室の研究員の方から、研究留学(海外でのポスドク)をする気はないか、とお誘いのメールを頂きました。その研究員の方が留学していた研究室が、神経回路の解析(イメージングなど)をできる人を探している、ということで…
先日、椎体椎間板炎の患者が紹介になりました。 脊椎を専門にしている医者から見ると、この病気は、一般には知られていない、という印象を持ちます。整形外科から椎体骨折と熱源不明の感染症、ということで相談を受けたこともあるくらいなので、整形といえど…
先日、初めてORBEYE(オーブアイ)を使用しました。頚髄腫瘍の手術で、今までは、マイクロを使っていましたが、特に問題なく、できました。 今日から脳神経外科総会があり、ランチョンセミナーで、"ORBEYEエキスパートが語るヘッズアップサージャリー"というセ…
日本脊椎・脊髄神経手術手技学会(JPSTSS)のオンデマンド配信は終わってしまいましたが、レジェンドの1例、というセッションでの久野木先生の神経根症による膝痛、の発表が興味深かいものでした。1993年の臨床整形外科にその論文がありました。 腰部神経根症…
日本脊椎・脊髄神経手術手技学会(JPSTSS)のオンデマンドは、非常に興味深い講演が聞けて勉強になります。 綾部ルネス病院の深谷先生の、”LLIFにおける合併症を回避する基本手技”、という講演が、非常に教育的でした。大腰筋の前から入るアプローチだと、尿管…
当科には外視鏡、オリンパス社のORBEYEが導入されています。実際に使っているのは、脳腫瘍手術を行う一部の医師のみですが、先日、その手術を見学しました。 オリンパス社のORBEYEは、ソニーとの共同開発のようです。 ORBEYE | 手術用顕微鏡システム | 製品…
先日、rejectが続いて、投稿先をどうしようかと、ブログにも投稿していた原著論文がようやくSurgical Neurology Internationalにアクセプトになりました。 結局、 JNS Spine→ reject World Neurosurgery→ reject Clinical Neurology and Neurosurgery→ rejec…
私のいた病院では、使う機会のなかったDuraGenですが、先日、Duragenを使っているところを見学させて頂く機会がありました。硬膜の元になる、という意味のDura-genですが、重宝している先生も多いのでしょうか。 私は、硬膜形成が必要な場合、primary closur…
先日、とある原著論文がrejectになりました。これで3つめの雑誌… この論文、そこそこ自信はあったので、JNS Spineから投稿したのですが、立て続けにrejectされると、心が折れますね… ちなみに、投稿先と、rejectまでの期間ですが、 ・Journal of Neurosurger…
先日、他の病院に手術に行った際に、STRATAFIX(ストラタフィックス)での閉創を勧められて、初めて使ってみました。ご存じの人も多いかとは思いますが、SymmetricとSpiralがあり、Symmetricが筋層、Spiralが皮下の閉創を行うものだと思います。 STRATAFIX Sym…
先日、L2/3のModic changeを伴う椎間板性腰痛の患者さんが、保存的加療で良くならず、良くなる可能性があるなら手術を受けたいと、脊柱管狭窄もなく適応としては、微妙だったものの、希望も強かったため、1椎間のLLIFおよびPPSを行いました。 椎間板性腰痛に…
Nintendo Switchの『リングフィットアドベンチャー』で腰痛や臀部痛が軽減するという論文が出ていました。千葉大学でプレスリリースされています。 家庭用ゲーム機のフィットネスゲームで慢性的な腰痛が改善(chiba-u.ac.jp) Sato T, et al. Effects of Ninte…
先日、はじめてKing法での肘部管症候群の執刀をさせて頂きました。 手術の注意点のおさらい。 ・患者が左手の障害の場合、術者が右手であれば、近位側から遠位側へ剥離するので、患者の体位は、腹臥位にして、回内させて肘部管が上を向くようにする。 ・皮膚…
腰椎変性すべり症に対するOLIFとTLIFの手術成績の論文が、BioMed Research Internationalという雑誌に出ていました。Biomed Res Intは、Hindawi社のjournalで、IFは2.276ついていますが、APCは2400ドルと高めです(Du X et al. Oblique Lateral Interbody Fus…
先日、脊髄外科学会がありました。その中に、PPSの穿刺の際に使うペディガードというプローブの報告がありました。ペディクル壁や椎体の穿破が発生する前に、音と光で警告を発する補助的な機能が付いています。 Jプローブの代わりになるようなものですが、音…
脊椎外科医にとって、神経診察は非常に重要ですが、混乱することもあります。髄節に関する記載など、本によって、微妙に異なります。ちょっと整理してみました。 とりあえずは、下記のような形で髄節診断はある程度、できるのではないでしょうか。 ・ C5→三…
先日、頚椎症性筋萎縮症を疑う症例が外来にきました。筋萎縮性側索硬化症(ALS)も鑑別にはなるために、念のため、神経内科にコンサルトしたところ、橈骨逆転反射もあり、C5,6髄節障害で間違いなく、頚椎症で、ALSではない、との返事を頂きました。 橈骨逆転反…
椎弓形成術には、両開き(double-door)と片開き(open-door)があります。 私は、両開きですが、最近は、片開きの先生が多いような印象があります。片開きの方が、恐らく、手術時間は短くできるとは思います。一方で、C5麻痺の頻度は片開きの方が高い、といった…
脊髄損傷患者の血圧管理に関して、JNS spineに論文が出てました(Haldrup M et al. Initial blood pressure is important for long-term outcome after traumatic spinal cord injury. J Neurosurg Spine. 2020)。 デンマークからの論文ですが、一般的なのか…
先日、他院に脊椎の手術見学に行ってきました。他の病院の手術は使う道具などに工夫があることも多く、非常に勉強になることが多いです。 PEDとPLIFの見学でした。 PLIFはオープン手術でしたが、透視は使わず(私の病院では透視下になります)、PS(Pedicle scr…
症例報告を英文誌に投稿したいものの、内容的に厳しそうだったり、初めての症例報告だったり、色々な理由で、日本語で書いて、邦文誌に投稿することがあると思います。 その場合、やはりどこに投稿すればよいか?という問題があります。 候補としては、 ・脊…
以前、症例報告(ケースレポート、case report)をどこに投稿するか?というタイトルで記事を書きましたが、千葉大学の整形外科のホームページ内に、いくつかの投稿先が載っていました。 症例報告の投稿先 | 千葉大学大学院医学研究院整形外科学 (chiba-u.jp) …
幸いにも今の病院には、4月になると、脊椎手術の経験がない新しい先生が入ってきます。手術はまずは助手ですし、徐々に覚えてもらうとして、まず、必須なのが、神経学的診察だと思います。 参考書は、自分が脊椎を始めた10年くらい前のときには、整形外科医…
先日、MRさんが、日本からもセメント注入が可能なpedicle screwが出る、というような話を聞きました。実際に、どのくらいの有効性なのか、論文を見てました。 2015年にCLINICSから出ているのが、中国のFei DaiらのSurgical treatment of the osteoporotic sp…
中国からの論文を目にする機会が多くありますが、頚椎スクリューを刺入する際に、ロボットにアシストをしてもらった方が、正確性が高い、という論文が出ていました(Fan M et al. Improved Accuracy of Cervical Spinal Surgery With Robot-Assisted Screw In…
longの固定をする際に、ロッドのベンディングに苦労させられることがあります。longの固定頻度が高いわけではないのですが、先日、胸椎からS2-alar-iliacまでin situでの固定を行った症例で、NuvasiveさんのBendini、ベンディーニを使いました。PPSで行った…
先日、Webinarで杏林大学の竹内先生がDouble endplates penetrating screw(DEPS)について講演してくれました。 pedicle screwのtrajectoryを頭側に傾けて、結果として、screwを刺入した椎体の頭側の終板およびその一つ上の椎体の尾側の終板の2つの終板(endpl…
以前、脊髄損傷の症例を、脊髄再生医療のひとつであるステミラック治療を札幌医大にお願いして、転院させて頂いたことがありましたが、その札幌医大から、ステミラック治療に関して、Phase 2のstudyで、13例のケースシリーズが出ていました。2021年2月のacce…
先日、頚椎症性脊髄症で椎弓形成術を行った患者で、術後に首下がりになった症例を経験しましたが、頚椎椎弓形成術の術後の後弯変形に関して、興味深い論文がありました(Fujishiro T et al.Significance of flexion range of motion as a risk factor for kyp…