"せきつい"ブログ

脊椎専門の脳神経外科医のブログです。脊椎手術や学術に関する私見、患者さんとの会話、助言など、記録にしています。 また、アメリカ留学中のイベントなどについても書き込みしています。

脊髄手術_その他

脊椎関連の学会に関して

脊椎は、学会が非常に多い、という特徴があります。 脊椎を専門とする脳神経外科医にとっての主たる学会となる日本脊髄外科学会 (neurospine.jp)に加えて、さらに専門的な学会や研究会があります。年会費が必要なことも多く、出費がかさむため、少し整理した…

化膿性椎体椎間板炎の診断

先日、椎体椎間板炎の患者が紹介になりました。 脊椎を専門にしている医者から見ると、この病気は、一般には知られていない、という印象を持ちます。整形外科から椎体骨折と熱源不明の感染症、ということで相談を受けたこともあるくらいなので、整形といえど…

ORBEYE(オーブアイ)の使用経験

先日、初めてORBEYE(オーブアイ)を使用しました。頚髄腫瘍の手術で、今までは、マイクロを使っていましたが、特に問題なく、できました。 今日から脳神経外科総会があり、ランチョンセミナーで、"ORBEYEエキスパートが語るヘッズアップサージャリー"というセ…

外視鏡、ORBEYE(オーブアイ)について

当科には外視鏡、オリンパス社のORBEYEが導入されています。実際に使っているのは、脳腫瘍手術を行う一部の医師のみですが、先日、その手術を見学しました。 オリンパス社のORBEYEは、ソニーとの共同開発のようです。 ORBEYE | 手術用顕微鏡システム | 製品…

DuraGenの使用経験

私のいた病院では、使う機会のなかったDuraGenですが、先日、Duragenを使っているところを見学させて頂く機会がありました。硬膜の元になる、という意味のDura-genですが、重宝している先生も多いのでしょうか。 私は、硬膜形成が必要な場合、primary closur…

高位診断と髄節と短母指外転筋(APB)

脊椎外科医にとって、神経診察は非常に重要ですが、混乱することもあります。髄節に関する記載など、本によって、微妙に異なります。ちょっと整理してみました。 とりあえずは、下記のような形で髄節診断はある程度、できるのではないでしょうか。 ・ C5→三…

脊椎外科医は神経学診察、MMTの勉強から

幸いにも今の病院には、4月になると、脊椎手術の経験がない新しい先生が入ってきます。手術はまずは助手ですし、徐々に覚えてもらうとして、まず、必須なのが、神経学的診察だと思います。 参考書は、自分が脊椎を始めた10年くらい前のときには、整形外科医…

脊髄損傷に対する再生医療、ステミラック治療の論文

以前、脊髄損傷の症例を、脊髄再生医療のひとつであるステミラック治療を札幌医大にお願いして、転院させて頂いたことがありましたが、その札幌医大から、ステミラック治療に関して、Phase 2のstudyで、13例のケースシリーズが出ていました。2021年2月のacce…

周術期の抗血小板薬は中止するか?

高齢化に伴い、抗血小板薬内服症例の手術が増えています。 周術期に抗血小板薬を継続したままにするか、一旦、休薬するかどうかは、各施設や医師によって対応が違うように思います。 ・抗血小板薬を休薬すれば、血管系イベント発症のリスクが上がる。 ・抗血…

患者さんは術者を指定した方がよい?

患者さんに、”手術は先生がされるのですか?”という質問をされることがあります。 患者さんは、誰が執刀してくれるのかは非常に重要なこと、と思っているようです。 患者さんからすれば、ある程度、経験豊富な人に手術をしてもらいたい、と思うでしょう。 確…

脊椎の手術で病院選びは重要か?

患者さんの背景(住んでいる地域、年齢やリサーチ能力など)にもよると思いますが、 脊椎の手術が必要になったとき、 どこの病院で手術を受けるか? というのは一番の悩み事だと思います。 私も、いくつかの病院で勤務をして、脊椎の手術をしてきましたが、 学…

脳神経外科か整形外科か

脊椎の手術は、脳外科と整形外科のいずれでも受けることができます。 患者さんは、別に気にしていない気もしますが、 どちらの科が良いか?と聞かれると、 科ではなくて医者による、 ということはありますが、 正直、学会レベルでの発表を聞いている限りは、…

脊髄の再生医療とステミラック

先日、札幌医科大学へ転院搬送となった患者の家族からお礼の手紙が来ました。 海で遊んでいて発症した、 ASIA分類Aの脊髄損傷の患者です。 脊髄損傷の分類には、ASIAやFrankelなどありますが、 Grade Aは、最重症で、障害レベル以下の完全麻痺です。 頚椎損…