椎弓形成術(laminoplasty)において、
C3椎弓を形成すると、C2棘突起に付着する頸半棘筋(Semispinalis Cervicis)を剥がす必要があるため、術後の後彎変形や、C2棘突起と形成したC3椎弓が干渉するために、可動域が狭くなる、といった報告があります。

広島大学脳神経外科より、C3椎弓の取り扱いに関して、論文が出ていました。
Shimizu K, Mitsuhara T, Takeda M, Kurisu K, Yamaguchi S.
Effects of Preservation of the Semispinalis Cervicis Inserted into C2 on Craniocervical Alignment After Laminoplasty.
World Neurosurg. 2020
C3椎弓を形成することで、頸半棘筋の剥離を行った群と、C3椎弓を切除とすることで、頸半棘筋の温存を行った群で、長期フォローしたところ(フォロー期間に差がありますが)、剥離群では、C2-C7角が減少(後弯変形)し、O-C2角が増加、つまり上を向くような姿勢になったということです。
C2-C7角が減少して、代償性にO-C2角が増加すると説明されていますが、頸半棘筋が剥離されている一方で、C2棘突起に付着している大後頭直筋や下頭斜筋は温存されているので、このバランスが崩れて、O-C2角が増加する方向に作用するのは、想像できます。また、この代償機構の合併症として、C1/2の不安定性に寄与すると思われるC2歯突起の偽腫瘍pseudo tumorの症例が3例生じたと報告されています。
また、剥離群では、術後の可動域も低下を認めています。
したがって、この論文からは、C2棘突起に付着する頸半棘筋は温存するべきで、そのためには、C3椎弓は形成ではなく、切除が良いと結論になります。
私は椎弓形成を始めたときに、C3椎弓は切除、と習い、今までそうしてきましたが、このような論文をみることで、それが、妥当性がある方法だと認識できました。