椎弓形成術後に、首下がり症候群(dropped head syndrome)(術後頚椎後弯変形というべきでしょうか…)を呈する例に、先日、初めて、経験しました。
術後、半年以上経ったあとで、首下がりになってしまいました…
術後の首下がり症候群のリスク因子としては、術前の画像検査では、
"C2-C7 angle", "C7-T1 angle", "center of gravity line from head(CGH) -C7 SVA"
の報告があります(Koda M et al. Dropped head syndrome after cervical laminoplasty: A case control study. J Clin Neurosci 2016 32:88-90)。
術前から頚椎が後彎している症例は、リスクが高いようです。dynamic撮影も検討すると、何か知見があるかもしれません。
また、最近、高齢化もあって、首下がり症候群自体は、増えているようです。
外来でも時々、経験します。先日、両側のDeltoidの麻痺もあって、motor neuron diseaseを疑い、脳神経内科に紹介した症例もありました。
脊髄外科学会誌でも誌上フォーラムで取り上げられていました。
頚椎高度後弯変形 (首下がり) 症例の治療戦略 (jst.go.jp)
首下がり症候群の診断のポイントは、
・基礎疾患の有無(二次的な首下がり症候群の可能性)
・global alignment(胸腰椎の変形の有無、代償機能)
といえそうです。
rigidでなければ、保存加療は試みる価値はあるもので、前胸部に固定された支柱で頭部を支えるSOMI型のコルセットなどの装具療法、頸部伸筋群などの筋力強化を中心とした理学療法が適応になるようです。
保存加療で改善なければ、外科的治療となり、症例にもよると思いますが、前方と後方手術が必要で、2椎間あるいは3椎間のACDFに加えて、後方は、C2 (or C3)からT3前後までの固定となることが多いようです。