先日、環軸椎亜脱臼によるC2歯突起偽腫瘍に、頚椎症性脊髄症を合併した症例を経験しましたが、画像上、C1およびC3/4レベルでの脊髄の圧迫があり、どちらが主たる問題か、診断する必要がありました。
このようなときに、有用かもしれないのが、肩甲上腕反射(Scapulohumeral reflex)です。常識なのかもしれませんが、最近まで私はその所見を知りませんでした(聞いたことはあったと思いますが、その必要性を認識できていませんでした…)。
肩甲上腕反射は、頚椎症性脊髄症のガイドラインでも記載があります。清水先生の論文は、C4より上位のblind zoneにおける上位頚髄病変の診断指標を提示した貴重な論文です(Shimizu T, Shimada H, Shirakura K. Scapulohumeral reflex (Shimizu). Its clinical significance and testing maneuver. Spine (Phila Pa 1976). 1993 18(15):2182-90.)。
肩甲上腕反射は、座位の患者で、肩峰あるいは肩甲棘を下方へ叩いたときに、肩甲骨の挙上あるいは上腕の外転を認めたときに、陽性になります。通常は、この運動は誘発されないので、病的反射の範疇となるでしょうか。
Scapulohumeral Reflex―その臨床的意義と検査手技の実際 (臨床整形外科 27巻4号) | 医書.jp (isho.jp)
上腕二頭筋(Biceps)反射はC5髄節ですが、肩甲上腕反射(scapulohumeral reflex)はそれよりも上位に髄節があり、考察では、C1後弓からC3/4 diskのレベルと想定されています。
一般的な神経学の教科書には、記載があったりなかったりしますが、脊椎脊髄ハンドブック 第3版 には記載がありました。初版には記載がないです。
交通事故サポートセンターというホームページにも、他のDTRと同列に記載がありました。
脊髄損傷と確認の検査がわかる。等級認定に必要なこと|交通事故SC (shared-server.net)
今後、この所見は積極的に確認しようと思います。