"せきつい"ブログ

脊椎専門の脳神経外科医のブログです。脊椎手術や学術に関する私見、患者さんとの会話、助言など、記録にしています。

周術期の抗血小板薬は中止するか?

高齢化に伴い、抗血小板薬内服症例の手術が増えています。

周術期に抗血小板薬を継続したままにするか、一旦、休薬するかどうかは、各施設や医師によって対応が違うように思います。

・抗血小板薬を休薬すれば、血管系イベント発症のリスクが上がる。

・抗血小板薬を継続すれば、周術期の出血リスクが上がる。

どちらのリスクをとるか、ということですが、術式にもよるとは思いますが、印象としては、最近は抗血小板薬を中止しないで手術を行っているケースも多いように見受けられます。

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2020年のSpineの論文ですが、MIS(MED,MEL,MIS-TLIF)による腰椎手術において、retrospectiveに解析したところ、周術期に抗血小板薬を継続した群(240例)で、入院期間の延長がみられたものの(2.5±0.67 vs 1.59±0.76、P<0.05)、出血量や手術時間、出血合併症は増えなかった、という報告がありました(Kulkarni AG et al. The Practice of Continuation of Anti-platelet Therapy During the Perioperative Period in Lumbar Minimally Invasive Spine Surgery (MISS): How Different Is the Morbidity in This Scenario? Spine (Phila Pa 1976). 2020)。

この論文は、1000例を超える手術で、SSIも硬膜外出血もないというかなり手術成績が良いものです。低侵襲(MED,MEL,MIS-TLIF)が周術期合併症を減らすということでしょうか。

少なくとも低侵襲手術であれば、抗血小板薬内服の継続は、思っているほど、出血合併症を増やさないのかもしれません。

当院では、周術期の抗血小板薬の内服に関しては、あらかじめ、中止の可否を当該科に相談した上で、必要であれば、抗血小板薬内服のまま手術を行っております。

また、緊急手術で、抗血小板薬内服のまま手術ということもありますが、確かに、幸いに、今までのところ、それで大きな問題になった症例はありません。ただ、出血合併症で痛い目に合えば、出来るだけ中止したい、と思うようになるような気がします…