骨粗鬆症をベースにした胸腰椎圧迫骨折は、今後も増えていく疾患と思われ、それに対する外科的治療として、バルーン椎体形成術(BKP:Balloon kyphoplasty)があります。
その適応に関しては、色々と議論はあるものの、個人的には、保存加療で疼痛が改善しない偽関節、と考えてはいます。
ただ、保存的加療による廃用や血栓、肺炎などの合併症リスクの問題、椎体圧壊に伴う後彎変形の問題などがあり、早期のBKPを推奨する報告もあります。
その一つが2019年の大阪市大からの論文です(Hoshino M et al. Balloon Kyphoplasty Versus Conservative Treatment for Acute Osteoporotic Vertebral Fractures With Poor Prognostic Factors: Propensity Score Matched Analysis Using Data From Two Prospective Multicenter Studies. Spine. 2019)。
この論文は、MRIのT2画像で、high-intensity(fluid貯留しているような症例、つまりは偽関節と同義)とdiffuise low-intensity(椎体の線維化?)の症例では、保存加療で改善が乏しいのでBKPを推奨する、というものです。
比較的新しい骨折であれば、STIRや脂肪抑制はhighになり、T1ではlow intensityになります。T2所見はさほど気にしていませんでした。しかし、この論文を読んでから、T2画像も確認するようになり、diffuise low-intensityの症例では、BKPも検討するようにしております。当たり前ですが、あくまで因子のひとつで、自験例でも、diffuise low-intensityの症例が必ずしも保存加療が無効なわけではなく、改善する症例もあります。
コルセットや鎮痛薬で疼痛自制内になる症例には、手術はしておりません。
高齢者が多いので、どこまで治療するかは、既往や生命予後なども考える必要がある疾患だと思います。