"せきつい"ブログ

脊椎専門の脳神経外科医のブログです。脊椎手術や学術に関する私見、患者さんとの会話、助言など、記録にしています。 また、アメリカ留学中のイベントなどについても書き込みしています。

OLIFとTLIFの手術成績の比較

腰椎変性すべり症に対するOLIFとTLIFの手術成績の論文が、BioMed Research Internationalという雑誌に出ていました。Biomed Res Intは、Hindawi社のjournalで、IFは2.276ついていますが、APCは2400ドルと高めです(Du X et al. Oblique Lateral Interbody Fusion versus Transforaminal Lumbar Interbody Fusion in Degenerative Lumbar Spondylolisthesis: A Single-Center Retrospective Comparative Study. Biomed Res Int. 2021) 。

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retrospective studyで、対象疾患は、腰椎変性すべり症で、1椎間固定、12か月以上のフォローアップ症例です。TLIF37例、ORIF(+PPS)28例の治療成績を比較検討しています。

OLIF群は、側臥位でケージ挿入後、腹臥位にして、PPSでpedicle screwを挿入、TLIFはopen TLIFで、PSはケージを入れる側は、openで、その対側はWiltesのアプローチで挿入とあります。

結果は、OLIFはTLIFよりも、手術時間が短く、出血が少ない、ドレーン量も少なく、入院期間が短ったようです椎間高、foramenの高さ、椎間スペースの角度、lumbar lordorsisも、OLIF群が良かったとのことです。一方で、すべりの改善の程度や骨癒合率は違いがなかったとあります。

OLIFは術後一か月、三か月、半年までは、TLIFよりも痛み(VAS、ODI)は少なかったものの、一年後、最終フォローアップ時(平均20か月)には差がなく、周術期の合併症にも違いがなかったようです。

私も、TLIF、OLIFともにさせてもらうことがありますが、確かに、Open TLIFはそれなりに出血するので、術中出血は、違いがあることには納得です。手術時間も、側臥位から腹臥位に戻す時間などを加味しても、OLIFの方が短い、という印象はあります。術後経過はOLIFでのPPSも、それなりに痛がるので、離床までの期間は、1、2日くらいの違いの印象で、この論文のhospital stayの違いも納得できます。

OLIFに絶対的な優位性があるわけではありませんが、OLIFやや有利というのは、共感できる結果な気がします。