先日、札幌医科大学へ転院搬送となった患者の家族からお礼の手紙が来ました。
海で遊んでいて発症した、
ASIA分類Aの脊髄損傷の患者です。
脊髄損傷の分類には、ASIAやFrankelなどありますが、
Grade Aは、最重症で、障害レベル以下の完全麻痺です。
頚椎損傷で、緊急で後方除圧固定を行ったものの、神経所見の改善はなく、家族には厳しいICをしました。
ただ、若かったことから、ステミラックの適応があるのではないかと、札幌医科大学に相談をしました。
脊髄損傷に対する再生医療等製品「ステミラック注」を用いた診療について |お知らせ |札幌医科大学附属病院 (sapmed.ac.jp)
これは、保険適応になっている、脊髄の再生治療です。
細かくは、サイトを見て頂きたいですが、
臨床研究の有効に関する検討が不十分なのではないか、
厚生労働省の認可が下りるのが早すぎたのではないか、
という批判もあるようですが、
現段階では、重症脊髄損傷患者の希望のひとつであることは間違いないです。
実際に、患者さんの紹介をすると、入院枠などの関係で、必ずしもOKとはならないようですが、このときは、幸い、受け入れ可となりました。
ただ、HPでは、細かく書いていないのですが、実際には、転院にあたり、癌の否定などが必要で、かなり多くの検査があります。患者の状態が悪いために、この検査はかなり負担にはなります。
したがって、総合病院でないと難しくなります。
また、条件も、色々あります。例えば、アレルギーあるとダメ、とか、呼吸器つながっているとダメ、など。
日程的な制約もあるので、かなりタイトな日程で、転院前検査をして、その結果を送付した上で、
最終的に転院となりました。
搬送は、"メディカルジェット"でした。
北海道の患者搬送機「メディカルウイング」就航 (aviationwire.jp)
行きは、補助があるものの、
帰りは、これを使った場合には、高額になるとのことでした。
今後のステミラック治療の臨床データを心待ちにしています。