"せきつい"ブログ

脊椎専門の脳神経外科医のブログです。脊椎手術や学術に関する私見、患者さんとの会話、助言など、記録にしています。 また、アメリカ留学中のイベントなどについても書き込みしています。

PEDを始めるならILからが良い?

先日、他院に脊椎の手術見学に行ってきました。他の病院の手術は使う道具などに工夫があることも多く、非常に勉強になることが多いです。

PEDとPLIFの見学でした。

PLIFはオープン手術でしたが、透視は使わず(私の病院では透視下になります)、PS(Pedicle screw)挿入時に、プローベの代わりに、小さな鋭匙を使っていました。特注とのことでしたが、非常に操作性も良さそうでした。

PED(Percutaneous Endoscopic Discectomy、経皮的内視鏡椎間板ヘルニア摘出術)ですが、L5/S1の椎間板ヘルニアの症例で、

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全身麻酔下、

体位は4点固定でしたが、尾側を高くして、前弯を減じて椎弓間を少し広げるような体位を取っていました。

造影剤とインジゴカルミンでdisc造影を行った後、

術中はAP viewを確認しながら、行っていました。

 

全身麻酔か局所麻酔か?体位をどうするか?Disc造影するかどうか?術中の透視をどうするか?といったところは、施設によって違いがあるものと思います。

私自身、PEDを始めたいとは思っており、Cadaverも参加したことはあるのですが、この病院の術者の先生は、最初にやるなら、IL(Intrer lamina)がよい、といっていました。その理由のひとつは、うまくいかなかった場合には、そのままMEDなりLoveなりに移行できるから、ということです。

岩井整形からの参考書など、TF(transforaminal)法から始める、とおっしゃる先生が多いとは思うので、この意見は興味深いものでした。

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確かに、ILは、通常のヘルニア摘出と同様のアプローチではあるので(その点で、ILやるのであれば、普通のやり方でよい、という先生もいる)、Viewやオリエンテーションがとっつきやすいともいえます。

先日、見学したPED症例は、椎弓間が広いということもあり、骨切除もわずかで、手術時間は30分足らずでしたので、PEDは患者さんにとってはかなりメリットのある治療だと思います。また、やっている術者から、楽しい、という声も聞くので、いい治療ではないでしょうか。

私も再度、PEDの導入に関して、検討したいとは思います。